テレビ放送された映画の感想日記
2009年〜
  2009年9月30日   「おくりびと」  「デビル」  「ウエディング宣言」     
 面白そうと思って、録画しておいても何かと忙しく、すぐ見る事が出来ない。
 9月中にテレビで放映された映画3本を、空いた時間にゆっくりと見た。                     
 「おくりびと」
 米アカデミー賞外国語映画賞を受賞し、注目の映画だ。
 見たいと思ったが、宇都宮では上映は終わっていて、見る事が出来なかった。
 嬉しい事に、早々とテレビ放映された。
 日本でも作品賞・監督賞・主演男優賞などほとんどの部門でアカデミー賞を受賞した。
 ひょんなことから遺体を棺に納める“納棺師”となった男が、仕事を通して
 触れた人間模様や上司の影響を受けながら成長していく姿を描いた感動作。
 本木雅弘と広末涼子が夫婦役、山崎努は社長で先輩の納棺師役。
 出演した俳優全ての演技も見ごたえのあるものだったが、音楽も景色も全て良かった。
 チェロ奏者だった本木雅弘がチェロを弾くシーンはジ〜ンとした。
 そして山形の四季それぞれの美しい風景も心に残った。
 笑いあり、涙あり、考えさせられるシーンありと、あっという間の2時間だった。
 アカデミー賞受賞は納得と思う素晴らしい映画だ。
 8月に亡くなった義母のお葬式で、皆の見守る中、見事な所作で納棺を終えた
 女性を思い出し、特殊な仕事だけど、感謝される仕事なので頑張って欲しいと思った。
 「デビル」
 ニューヨークの警察官トム(ハリソン・フォード)の家に、一人の青年が同居する
 ことになった。 彼の名はローリー(ブラッド・ピット)。
 優しい笑顔の好青年だった。妻と娘とも、すぐに親しくなるのだが・・・
 彼の真の正体は、IRAに所属する国際テロリストだったのだ・・・
 ブラッド・ピットとハリソン・フォードという異色の顔合わせが実現した映画。
 サスペンス・アクション調の人間ドラマで、ハラハラドキドキのちょっと悲しい映画だった。
 「ウエディング宣言」
 ベテラン女優ジェーン・フォンダが久々のスクリーン復帰を果たしたことでも
 話題のロマンティック・コメディ。
 息子の結婚を阻止しようと相手の婚約者と壮絶な嫁姑バトルを繰り広げる。
 「シャル・ウィ・ダンス?」で先生役だったジェニファー・ロペスとの嫁姑バトルを
 見て、アメリカでも日本と同じような親離れ出来ない母親がいるの〜?と。。(笑)
 でも陰湿な戦いではなく、大笑いしてしまう内容だ。 そして最後はハッピーエンド!
 ジェーン・フォンダの70歳とは思えない若々しさにはビックリ〜  

  2009年5月30日        「ブラックブック」    
  映画資料より
『ロボコップ』『トータルリコール』のポール・バーホーベン監督が23年ぶりに母国オランダでメガホンをとった『ブラックブック』 舞台は1944年、ナチス占領下のオランダ。若く美しいユダヤ人歌手のラヘルはハーグ郊外の農家に匿われていた。しかし爆撃で隠れ家を失ったために、家族やほかのユダヤ人とともにドイツ軍から開放されたオランダ南部に逃れようとする。だが彼らはドイツ軍の待ち伏せに遭い、ラヘル以外は皆殺しにされてしまう。 レジスタンスに助けられたラヘルはエリスと名前を変え、髪をブロンドに染めて彼らとともに働くようになる。レジスタンスの一人、ハンスと列車で武器を輸送する途中、検問を誤魔化そうとしたエリスはナチスの情報将校のムンツェと知り合った。ドイツ軍に囚われたレジスタンスの仲間を助けるため、彼女はムンツェの元にスパイとして入り込む。そこで彼女は脱出するユダヤ人たちの待ち伏せ作戦を指揮していた親衛隊将校、フランケンと再会する。 (以下ネタバレあり) フランケンの愛人であり、諜報部で働くオランダ人女性のロニーから、エリスはフランケンがユダヤ人から奪った金品を隠し持っていると聞かされる。彼は安全地帯に逃れようとする裕福なユダヤ人から貴金属や現金を略奪していたのだった。ドイツは国ぐるみでユダヤ人の資産をむしりとっていたが、私腹を肥やすために略奪品を横領するのは重罪だった。 エリスが首尾よく取り付けた盗聴器により、レジスタンスは諜報部の動向を知るようになる。レジスタンスの一人、公証人のスマールはムンツェと交渉して無益な武力抗争を避けようとした。ドイツ軍の敗色が濃厚で戦争終結を予想していたムンツェはそれに応じるが、レジスタンスたちの処刑を禁じたことでフランケンと対立することになる。 盗聴器は別の情報もレジスタンスたちにもたらした。エリスやその家族をオランダ南部に逃す手配をしたレジスタンスのファン・ハインはフランケンと通じていたのだ。ファン・ハインが裕福なユダヤ人に近づいて脱出の手配をする。資産はできるだけ貴金属やドルに変えて持ち出すようにと伝えて。そのあとフランケンが部下を率いて彼らを待ち伏せして皆殺しにしたあと金品を強奪する。そして彼らは、最後のひと稼ぎのためにふたたびユダヤ人のグループを集めようとしていた。 ハンスやエリスはユダヤ人がこれ以上犠牲になるのを止めようと提案するが、レジスタンスのリーダーのヘルベンとスマールは反対する。ムンツェとの協定を破ればとらえられたレジスタンスを危険にさらすからだ。ハンスたちは単独でファン・ハインの誘拐を決行するが、手違いで彼を殺してしまう。 この事件でヘルベンの息子をはじめとする囚われたレジスタンスの処刑は決定的となった。レジスタンスたちは危険を承知で彼らの救出作戦を計画する。いっぽう、エリスはファン・ハイン殺害でムンツェにスパイの疑いをかけられ、彼にすべてを話すよう強要される。エリスからの情報をもとにムンツェはフランケンがユダヤ人の金品を横領していることを告発するが、金庫からはなにも発見されなかった。逆にフランケンにレジスタンスとの協定を暴露され、反逆罪でムンツェは囚われてしまう。 エリスは救出作戦でムンツェも助けてほしいと頼む。彼の孤独な心に触れたエリスは,いつの間にか彼を愛するようになっていた。彼女の手引きが必要なヘルベンは仕方なくそれを許可する。しかし救出作戦はフランケンに筒抜けだった。救出部隊はドイツ軍に待ち伏せされ、囚人もろとも虐殺される。実はフランケンは盗聴器の存在を承知の上で、逆にそこから情報をリークして巧みにレジスタンスたちを操っていたのだった。そして捕えられたエリスはフランケンによって内通者に仕立て上げられてしまう。 ロニーの機転でムンツェとともに脱出したエリスはドイツ軍の目をのがれて潜伏する。やがて連合軍によってオランダは開放されるが、彼女は対独協力者として手配されていた。公証人のスマールが裏切り者だと信じたエリスは彼のもとに向かうが、スマールは彼女に自分は違う結論に達したと告げる。彼はレジスタンスたちの動向を黒い手帳(ブラック・ブック)に書き留めており、それを分析した結果、裏切り者が誰かを突き止めたのだった。 だがそれが誰なのかを知る前にスマールは殺害され、エリスとムンツェは捕らえられる。反逆罪の判決はいまも有効だと主張する旧ドイツ軍の将軍によってムンツェは銃殺刑となり、財宝を持ち出そうとしたフランケンはハンスによって殺害された。収容所で屈辱的な扱いを受けていた彼女を救い出したのは今やレジスタンスの英雄と崇められるハンスだった。だが彼女が「ブラック・ブック」を持っていると知ったハンスは彼女を殺そうとする。ハンスこそ、裕福なユダヤ人のリストをフランケンに与えていた裏切り者だったのだ。 ハンスの手を逃れたエリスはヘルベンのもとを訪れる。かつてのレジスタンスの闘志は、ナチスに処刑された仲間達の埋葬地の発掘に立ち会っていた。その遺骸の中には彼の息子も含まれていた。エリスから真相を聞かされたヘルベンは彼女とともに逃走したハンスを追う。かつてエリスが助けられたように棺の中の死体を装ったハンスを見つけた二人は、空気とりのために空けてあった隙間をふさいで彼が窒息死するにまかせる・・・。 今でも英雄視される対独レジスタンスの暗部を描いた重いテーマの映画だが、一難去ってまた一難というサスペンスの王道をいくつくりで上質のエンターテインメントに仕上がった。 バーホーベン監督がこの作品の構想を得たのは1977年。オランダで、やはりレジスタンスを題材にした映画を撮影していたときに見つけた、ハーグの弁護士に関する記事がきっかけだそうだ。その弁護士は終戦の半年前にドイツ軍とレジスタンスの協定を仲裁したが、その交渉中にレジスタンス側に内通者がいることに気づいてそれをメモした手帳を残した。しかし彼はハーグ開放の2週間後に暗殺され、手帳も消えたという。 ドイツ占領下のオランダでは危険を承知でユダヤ人を匿う人たちがいたが、アンネ・フランクの一家を密告したのもまたオランダ人だった。のちに対独協力者として告発された人々のように進んで密告した人もいれば、脅されて自分や家族が助かるために仕方なく情報をもらした人もいただろう。エリスが裏切り者だったと思い込んだレジスタンスたちは口々に彼女を罵るが、スマールは「死ぬか協力するか、どちらか選べと言われたら仕方ない」と庇う。確かに、自分がその立場だったら殴ると脅されただけでペラペラしゃべってしまうだろうなあ、とヘタレなわが身を省みるわたくし。 内通者だったハンスも最初から裏切り者だったわけではなく、逮捕されて脅されたために仕方なく協力を始める。しかし連合軍の勝利が確実になるにつれ、「戦後」を念頭において保身のためにレジスタンスたちを利用することになる。たとえばファン・ハイン殺害の顛末は、クロロフォルムが効かず抵抗したためにやむなく殺したように見えるのだが、これはハンスが準備したクロロフォルムが古かったのが原因だった。しかしひそかにユダヤ人の手術も引き受けていた医師のハンスが、期限が切れて3年もたったクロロフォルムに気づかないとは考えにくいのだ。ファン・ハインとハンスがお互いのことを知っていたかは言及されないが、自分の身に危険が及ばないようにファン・ハインを始末したと考えるのが自然だろう。もっとも、ファン・ハインはともかく、ハンスが裏切り者だとは映画では最後まで気づかせない。あとから振り返って初めて、そういえばあそこが怪しかったとかここも怪しかったと気づく仕掛けで、ヒッチコックばりは褒めすぎだろうが、サスペンスとしてよくできている。 レジスタンスたちの活動が縦糸なら、エリスとムンツェの恋愛はストーリーの横糸となっている。ムンツェが彼女に惹かれるのはエリスを演じるカリス・ファン・ハウテンの美貌のおかげで違和感がない。逆にユダヤ人であるエリスがナチスの将校に恋心を抱くのは無理があるように思えるのだが、極悪非道な人非人のつもりで近づいたら、意外なことに血も涙も良心もそなえた普通の男だったとわかってほだされてしまう。なさそうでありそうな、ありそうでなさそうな、男女の仲はわからんものなのでアリなのかね?ととりあえず納得する恋愛音痴なわたくし。 映画はイスラエルに移住したエリス(ラヘルの名前に戻っている)の回想として始まるので、観客は彼女が助かることはわかって見ているわけだが、ナチスの将校だったムンツェがイスラエルに移住できるはずはないので彼が生き延びられないことは薄々察せられる。しかし、ヒトラーの名前で出された死刑執行命令がオランダ解放後も有効だったなんて、そりゃないだろう!と驚くやら呆れるやら。 ハンスが裏切り者だと気づいたスマールは、彼を復讐に燃えるヘルベンではなく連合軍に引き渡すつもりだった。スマールはエリスに「どんな罪人にも正しく裁かれる権利がある」と言う。だがムンツェの処刑を認めたカナダ軍の将軍は、ナチスの将校には正しく裁かれる権利などないと思っていたのだろう。 暴力描写はどちらかというと抑制されていて血がどばどば噴出すようなシーンはない。銃撃を受けた人間はあっけないほど簡単に死んでいく。機関銃がバリバリバリ、人がばたばたばた。最期に愛する人になにか言い残すなんて、そんな悠長なことをしているヒマはない。たぶん戦争で死ぬとはそういうこと。

  2009年4月11日        「ショーシャンクの空に」    
 土曜日に放映された映画「ショーシャンクの空に」をブルーレイに録画して今日、観た。
 素晴らしい感動の映画、そして後味すっきりの見て良かった〜と思える映画だった。
 新聞のテレビ番組表を見て観たいな〜と思った映画は、まず題名でインターネット検索する。
 内容が私好みの映画だけを録画して、暇な時間に観るようにしているのだが。。
 もちろん、あらすじのネタバレは読まない。
 「ショーシャンクの空に」は、いくつかのサイトを読んでみても全て評価が高くて、
 観る前に期待でいっぱいになった。 期待を裏切らない評判どおりの映画だった。 ここ
 ある日、1人の銀行員が妻を殺したという無実の罪に問われ、刑務所に入った。
 そこは、一般社会とはかけ離れた社会が広がっていた。そんな中で、主人公アンディーの
 第二の人生が始まった。 「希望」という言葉を思いながら。。。
 主演のティム・ロビンスとモーガン・フリーマンの素晴らしい熱演だった。
 モーガン・フリーマン出演の映画は「最高の人生の見つけ方」「ミリオンダラー・ベイビー」
 を見た。重厚な演技で、映画を引き立てているなと感じさせてくれる俳優だ。
  映画資料より
 スティーブン・キングの中編小説を映画化。 9分17秒の長い紹介動画は →ここ
 絶望の中、不屈の精神によって自らの運命を切り開く男を描き、世界中を感動させた傑作。
 長年の刑務所生活の中でもおのれを見失わず、ついには脱獄に成功した男の奇妙な逸話の
 数々と、その親友の囚人をめぐるヒューマン・ドラマ。
 1995年のアカデミー賞には7部門ノミネートされたにもかかわらす、そのほとんどが
 「フォレストガンプ」に取られてしまいました。
 しかし実際のところ、「フォレストガンプ」よりも多くのファンを抱える作品です。

  あらすじ
「君の冷酷無情には驚くばかりだ、背筋が凍る」 裁判官が判決を下した。 「被告に終身刑を2度申し渡す!」  被告のアンディ・デュフレーン(ティム・ロビンス)は銀行の副頭取だが、 妻とその愛人のゴルファーを射殺した罪で裁判に掛けられたのだ。だが、彼は無実だった。 1947年、ショーシャンク刑務所にアンディが入所してきた。 刑務所の広大な敷地の周りは城壁のような高い塀に囲まれている。 若くノッポの彼はホモの囚人たちに目を付けられた。 長年、調達屋をしている黒人の囚人レッド(モーガン・フリーマン)は 最初からアンディを観察し、気に入っていた。ある時、アンディはレッドに ロック・ハンマーの調達を依頼した。石細工の趣味に使うのだという。 「抜き打ち検査があるぞ」 レッドは言った。「それに俺の名を出したら、今後一切・・・」 刑務所の屋根のペンキを塗る屋外労働に従事している時、監視役の刑務主任ハドレー(クランシー・ブラウン)が 死んだ弟の遺産相続問題で愚痴をこぼしているのを耳にした。 アンディが皆が止めるのを制止してハドレーに近づき、解決策を助言した。 ハドレーは鬼と恐れられている看守だ。屋上から突き落とされそうになったアンディだが、 遺産の有効活用を提案し、仲間へビールをふるまうのを条件に取引が成立した。 囚人たちはビールにありついた。だがアンディは飲まず日陰で皆が美味そうにビールを 飲むのを笑みを浮かべながら眺めているのだった。皆はアンディに一目置くようになる。 ある日、ホモたちがアンディを取り囲んで犯そうとした。アンディは相手の鼻をへし折り抵抗した。 アンディは病院へ入れられた。ホモのボグズは独房の務めを終えた途端、 看守ハドレーに半殺しにされ病院送りとなった。 そんなある日、レッドは退院してきたアンディに『リタ・ヘイワース』の ポスターを差し入れた。以前からアンディに調達を依頼されていたものだが、 これはビールのお礼だった。 アンディの房の抜き打ち検査があった。チェス用の石磨きも、壁に貼られた 『リタ・ヘイワース』のポスターも大目に見られた。 ノートン所長(ボブ・ガントン)はアンディを図書係りに配属させた。 これは彼に看守達の資産運用や税金対策の手続きをやらせるためだった。 アンディは刑務所の図書室のあまりの惨状に新刊を陳情する手紙を毎週、州議会あてに書いた。 図書室長のブルックスが仮釈放された。何十年も刑務所暮らしをしていると世間の風は冷たい。 スーパーでの仕事もままならなかった。ブルックスは与えられたアパートで首を吊って死んだ。 「収容病だ」 レッドが言った。「終身刑とは人生を奪う刑だ・・・」 アンディは黙って聞いていた。 州議会より古本その他、レコードが届いた。6年もアンディが手紙を書きつづけた努力が実ったのだ。 アンディはオペラ『フィガロの結婚』をかけ、刑務所中に響き渡らせた。 つかの間、全ての囚人たちは自由を味わった。塀を飛び越えていく女性ソプラノの声。 看守が止めるのも無視してアンディはかけ続ける。アンディは2週間の懲罰房送りになった。 レッドは30年も刑に服している。仮釈放の申請も再三却下された。 『リタ・ヘイワース』のポスターは『マリリン・モンロー』に変った。 1959年、州議会は年間500ドルの支給を決めた。図書館はブルックス図書館として生まれ変った。 アンディは書籍の整理に腕をふるった。 ノートン所長は時の人となる。報道陣に囲まれて演説をぶった。 「囚人は充分な監視のもと、外へ出て地域に貢献しつつ、地道な労働価値を学ぶのである」 山林の伐採や、道路工事などでただ同然の賃金で囚人たちを働かせ、所長がピンハネするのだ。 裏金の管理はアンディが受け持った。スティーブンスという架空の人間の口座を作り銀行に溜め込んでいく。 「・・・架空の人間を作れると?・・・」 レッドはアンディの話を聞き驚いた。 「法の隙を突けばな・・・彼の出生証明、免許証、社会保証番号・・・ 金の流れをたどれば幽霊を追うことになる・・・」 アンディは得意そうに言った。 「・・・脱帽だよ、お前は天才だ」 「皮肉なもんだ」 アンディはしみじみと言う。「僕は外では真っ正直だった。ここで、悪に目覚めた・・・」 その頃、ポスターは『ラクエル・ウェルチ』に変った。 トミーという青年が入所してきたのは1965年のことだ。テレビの窃盗事件だった。 トミーはこれまで色んな刑務所を渡り歩いてきた男だった。 高校の資格を取りたいというトミーにアンディがABCから教えた。 そのトミーがとんでもない話をした。前の刑務所にいた時のことだ。 ある囚人がゴルファーの家に押し入ってそのゴルファーを殺し、一緒にいたその愛人も殺したのだという。 愛人の亭主は銀行員で殺しの犯人とされ、殺人罪で服役していると、笑いながら話したのだ。 アンディは浮き足立った。ノートン所長に話を持ちかけたがノートンは受け入れなかった。 そればかりかアンディを懲罰房に1ヶ月放り込んだ。 トミーはノートン所長に呼び出された。 「君の話したことは真実か、聖書の前で誓えるか」 「はい」  トミーは控えていた刑務主任ハドレーに射殺された。 「トミーは脱獄しようとして撃たれたのだ」 ノートンはアンディに説明した。 「僕は出たらメキシコのシウアタネホ、太平洋岸の町だ、余生はそこで・・・ 海岸にホテルを開き、古いボロ舟を買って修復し、客を乗せ、沖つりに・・・」 アンディはレッドに夢を語った。「シウアタネホか・・・」  「調達屋がいてくれると助かるのだが」  「だいそれたことを考えるな」 レッドは言った。「お前は塀の中・・・それが現実だ」 「出所したら頼む・・・バクストンの牧草地に石垣と大木がある。石垣の元に変った黒曜石がある。その下を掘れ・・・」 「・・・」 翌朝、朝の点呼の時間。アンディの姿が房から消えていた。昨夜消灯時にはいたのに・・・ 房にはチェスの石細工が残されているのみだ。訳が解らず怒り狂ったノートン所長がその石を 壁のポスターに投げつける。ノートンの頭が一瞬、真っ白になる。 石はポスターを突き抜けてかなたで音を立てたのだ。 ポスターを剥がすと壁に穴が空いていた。 1966年、アンディはショーシャンク刑務所を脱獄した。 レッドが600年かかると踏んだ壁をロック・ハンマー1本で19年かけて掘り進み、脱獄の機会を狙っていたのだ。 嵐の夜。アンディは壁の穴から外へ出る。下へ降りると下水管を雷鳴に紛れて叩き割る。 吹き出る糞尿の汚水。アンディは下水管の中を500ヤードも這い進む。 下水管を抜けたところはショーシャンクの塀の外だった。 アンディは激しく降る雨の中に立った。とうとうやったぞ!アンディは雨が降りしきる空に向かって凱歌を上げた。 翌日、書類でしか存在しない男スティーブンス氏が各銀行を訪れた。 ノートン所長の隠し金37万ドルはこうしてアンディのものとなった。 アンディはノートン所長と刑務主任ハドレーの悪事を匿名で警察とマスコミに告発した。 警察に連行される刑務主任ハドレー。ノートン所長は警察が部屋に踏み込むと同時にピストルで自らの首を撃ち抜いた。 レッドは話し相手のいなくなった寂しさを味わった。 だが、40年にして仮釈放が承認されたのだ。40年ぶりの世間の空気。 与えられた部屋はかっての図書室のブルックスと同じ部屋だ。 スーパーマーケットの仕事も同じ。ままならない。 「収容病」に自分もかかっているとレッドは思う。塀の中での生活が懐かしい。 「出所したら頼む・・・バクストンの牧草地に石垣と大木がある。 石垣の元に変った黒曜石がある。その下を掘れ・・・」 レッドはアンディの言葉を覚えていた。 バクストンの大きな木。その下にある黒曜石。掘って見ると四角い箱があった。その中に手紙が・・・ 『レッド、出所できたんだね』 アンディの文字が飛び込んで来た。 『ここまで来たなら、もう少し遠出を、町の名を覚えてるな、シウアタネホ・・・ 僕の右腕になって欲しい。チェス盤を用意して待ってる。・・・君の友、アンディより』 封筒に札束が入っていた。 遠距離バスでメキシコのシウアタネホに向かうレッド。レッドは思った。 生涯で2度目の罪を犯す、仮釈放違反。だが、誰も追っては来まい・・・こんな老いぼれを・・・ シウアタネホの太平洋岸。レッドは砂浜で小舟の手入れをしているアンディの姿に近づいた。 アンディの目がぱっと輝く。二人は固く抱き合った。

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